CONTACTCONTACTCONTACT
PAGE TOPPAGE TOPPAGE TOP

FOLLOW US

2020.07.01

「解体のサンピ」というネーミングに潜ませた想い

年々増加傾向にある空き家の数。
2015年に「空き家法」(正式名称「空家等対策の推進に関する特別措置法」)が施行され、新聞やニュースでも空き家問題が盛んに取り上げられるようになり、世間一般の「空き家問題」への意識は高まっているように思います。

 

それで空き家が減ったかというと、最新の平成30年住宅・土地統計調査によると全国の空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13.6%と過去最高。
石川県の空き家率は、平成25年の調査時よりも900戸増加して77,800戸。
空き家率は全国平均よりも高い14.5%と、10軒に約1.4軒の割合で空き家があるという状況です。

 

「使わない空き家なら、壊せばいいのでは?」と思いますが、どうして解体が進まないのか。

 

問題は、「解体」という決断に至るまでの過程が複雑になりがちなことです。
古い建物でよくあるのが、土地建物の所有者の名義が何代も前のご先祖のまま、というケース。
こういった場合、相続人全員の総意が取れないと、名義人の変更も、壊すも売るもできないのです。
また、所有者名義が明確でも、解体費用はどうするのか、壊した後の土地はどうするのかについて、関係者間で意見が衝突している、というケースも。
そうした問題が複雑に絡み合い、「解体」の決断ができず放置され続ける、といった状況になってしまうのです。

 

本当はまだ使い道がある建物かもしれないのに、何の検討もなされず解体されてしまうことも、私たちは問題だと思っています。
多くの解体業者は、その建物にまだ使える可能性があるないに関わらず、依頼をされれば解体するでしょう。
建物の状態やロケーション、地域ニーズ、かかる費用と回収期間によっては、壊さずにリノベーションして活かすという選択もあり得ますが、自身の所有する建物にその可能性があるのかどうかを、専門知識のない個人の方が判断するのはなかなか難しいと思います。
「こんな古い建物、直しようも使いようもないだろう」そうした考えから、「解体しか選択肢はない」と思い至ってしまうのです。

 

これらの問題の原因は、建物や不動産に関する知識や法律が専門的すぎて、所有者個人では対処や決断が難しいことにあります。
また、専門家に相談するにしても、解体屋は解体について、弁護士は名義や相続について、税理士は税について、不動産屋は仲介について、ハウスメーカーは新築することについて、というふうに、各専門ごとに分かれているため、横断的に状況を見ることが難しく、各専門家の情報を統括して判断するにも、所有者個人に相当な負担が強いられます。

 

私たち「解体のサンピ」は、解体業者です。
ですが、提供するのは「解体工事」だけではありません。
建物は、壊したらもう元には戻せません。
その解体は本当に必要なのか、どのような意思決定の上で解体されるべきなのか。
解体した後に残る土地のこと、解体のほかにもあるかもしれない選択肢を考えた上で、所有者が納得して「解体」を選択できることが大切だと思うのです。

 

ただ解体を請け負うだけでなく、所有者の問題に寄り添いながら、解体の「賛否」そのものも問う。
「解体のサンピ」というネーミングには、そんな思いが込められています。

「解体のサンピ」は、建築設計から不動産企画までを手がける株式会社SWAY DESIGNが運営しています。

築古建築や遊休不動産の再生活用事業に多く関わってきた経験と、建築と法制度への知識をもとに、所有者が「より良い選択」をできるようサポートいたします。