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2020.06.30

設計事務所が「解体屋」を始めた理由

伝統建築の旅館や公共施設など、歴史的価値があり規模も大きい建物の解体計画が持ち上がると、その解体の是非や活用の可能性が公に議論されますが、個人所有の建物の終わりについて、そのような議論がなされることはほとんどありません。
しかしそうした個人所有の建物でも、いざ解体という時に、「あの建物良かったのに」「解体されるくらいなら、使いたかった」といった声が街の人から挙がることがあります。

 

ですが、周囲の人々がその建物に価値を感じていたとしても、そのことを所有者が知るきっかけほとんどありません。
そうしてあちこちで解体されていく建物を見るたびに、「こんな時、私たちに相談してくれていたら、どんな提案ができただろう」と考えてきました。

「解体のサンピ」は、建築設計事業からスタートした株式会社SWAY DESIGN(スウェイデザイン)から生まれました。

現在は建築設計、不動産企画、不動産仲介、そして解体事業を展開しています。

 

新築物件だけでなく、古い建物や遊休不動産をリノベーションやコンバージョン(用途変換)して再生活用する事例も多く手掛けてきました。
そうした中、つくる側には、ただ建物や場を「つくる」「持続させる」だけではなく、その建物や空間が使われなくなった時の「終わりかた」にも取り組む責任があると考えるようになりました。

 

「設計」=「つくる」というイメージから、設計事務所に建物の解体のご相談に来られる方はほぼいません。
ご自分でさまざまな検討を重ね、「壊して新築した方がいいだろう」「リノベーションしたい」というふうに、方向性を定めた上でご相談に来られる方がほとんどです。
設計事務所に相談するにしても、「どうしたいか」を決めていないと、相談に行きにくいということもあると思います。

 

しかし、答えはひとつではありません。
詳しくお話を聞いて、ご相談者の方が本当に望んでいることや、関係者の想いを掘り下げ、建物の状態や地域のニーズ、かかる費用など、ソフトとハードの両面から多角的に検討した結果、リノベーションをする予定から新築に変更したケースもありますし、解体して駐車場として利用するという決断に至ったケースもあります。

 

一方、「解体」を決めている場合も、「その後どうするのか」に考慮する必要があります。
売却するのか、売れる見込みはあるのか、その土地を持ち続けるのか。
新たに建てて何かを始めるなら、その土地は適しているのか、建てるのにいかほどの費用がかかるのか。

 

つまり「解体」することも「活用」の方法のひとつなのです。
そうした視点から考えると、始めから「解体」という選択をしていた場合でも、設計事務所が関わることで、その先の可能性が大きく広がるのではないか、より良い選択肢が見つかるのではないか。
そんな解体の在り方を提案したいという思いから、私たちは「解体のサンピ」を始めました。

 

「解体」を検討する時、解体工事の質や、解体費用が適正価格かどうか、そんなポイントを重視する方が多いと思います。
でも、本当に大切なのは、「解体」という決断に至るまでの“プロセス”です。

 

特に個人所有の建物の場合は、所有者と親族間の意見調整や相続問題などがハードルとなり、事態が停滞するケースが多く見受けられます。
そうした問題に直面した時に、解体に伴う費用や諸手続き、解体後のビジョン、新築する場合の条件やボリュームや費用、活用する場合の建物価値、必要投資額や投資費用の回収期間、地域のニーズ……など、お金の面、手間の面、将来性、所有者のライフプランなど、さまざまな視点から検討できる材料があったら、そのプロセスの質も、未来も、大きく変わるのではないでしょうか。

 

新築もリノベーションも、建築にも不動産にも通じている私たちだからこそできる「解体」。
数値化できない所有者の想いもお伺いしながら、ベストな選択肢を提案していきます。